【Movies】Netflix版 レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと 解説 S1-E1 【Monday】

大人気児童文学シリーズ「レモニースニケットの世にも不幸な物語」のNetflixドラマ版を早速1話から解説していきます。記事が長い! SPOILER ALERT! ネタバレにご注意!

まず、シリーズ全てに共通して出てくるのが「シンボル」と「引喩」です。そしてネットフリックスの1話目にも節々にそれが散りばめられています。1話目は、原作1作目の “The Bad Beginning”をドラマ化し、2つに分けたうちのエピソードのパート1です。
まず、登場人物から見直しましょう。

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上記、スライドショーの赤ちゃんは、Sunny Baudelaire (サニー・ボードレール)。3兄弟の末っ子で、鋭い歯を持っています。また、赤ちゃんという特性上、赤ちゃん言葉で話すので、姉弟以外は言っていることが理解できません。シリーズを通して原作では、少しずつ言葉を覚えたり、歩けるようになったりしていきます。歯が鋭く、なんでもかんでも噛み切ったり噛み砕くのが得意な他、実は料理に関しての才能も。でもそれはシリーズ後半に明かされます。

真ん中が Klaus Baudelaire (クラウス・ボードレール) で、シリーズ当初は12歳です。本の虫で読んだことは全て覚えています。博識で語彙も豊富。3兄弟の「脳」です。

そして1番上が、Violet Baudelaire (ヴァイオレット・ボードレール)、14歳です。機械に強く、リボンで髪の毛を後ろに結んだら、ヴァイオレットの脳がギコギコ発明をしている証拠。どんな機械も直せる、3兄弟の中でも「手」ですね。

まず早速ですが、3兄弟の名前「Baudelaire/ボードレール」。これもう既に引喩 ①なんです。ボードレールはフランス人、Charles Baudelaire (シャルル・ボードレール) という詩人の名前で、「近代詩の父」と称される方。この人がどうして大切かというと、シリーズを書いたダニエル・ハンドラーがボードレールの詩「悪の華」が好きで、その中にある「絶望的な状況に美を見つける」というコンセプトが気に入ったからだそうです。

物語は、タイプライターが “To Beatrice – darling, dearest, dead” (親愛なる、最愛の、死んだベアトリスへ)と打つところから始まります。(Dの頭韻ですね、ここも)クスッとくるダークなユーモアですね。ベアトリスが誰かということについては別記事で記載します。

レモニー・スニケットが冒頭、視聴者に他の物語を見るよう勧めます。こんな絶望的な話は見ないで、ほかの楽しいお話を見ましょう…と。上記のボードレールの詩のコンセプト「絶望的な状況に美を見つける」というところにも合致しますね。

事件が起こった当日、3兄弟は親にいきなりBriny Beach (引喩 ②) に行くよう言われます。(自分の意志ではなく、親に行かされます)
そこで後に両親が原因不明の火災で焼死したことを知らされますが、知らせを持ってきたのは、いつも咳ばかりしている仕事の出来ない銀行マン、Arthur Poe (アーサー・ポー)。作中ではMr. Poeとして皆に呼ばれています。

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(引喩②: Briny Beachは、ルイス・キャロルの作品「鏡の国のアリス」に出てくる「せいうちと大工」の詩に登場)

文学に長けている人なら、すぐ気付いたかと思いますが、そうです。銀行マンの名前は、あの有名なEdgar Allan Poe (エドガー・アラン・ポー) (引喩) に由来します。だってMr. Poeの子供のうちの1人がEdgarと名前がついていますし、Mr. Poeの奥さんの名前、”Eleanora”は、エドガー・ポーの作品 “Eleanora”に由来します。わお!
ちなみに面白いのが、詩人のボードレールと、小説家のエドガー・ポーの関係。この2人、歴史上は同じ時代に生きていて、ボードレールはポーの作品の書評まで書いています。
まだ、物語に入ったばっかりなのに情報量の多さに圧倒されますね 笑

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3兄弟は、ポーと会った後、灰となってしまった自宅へ戻り、今後の展開でとても重要な意味を持つものを発見します。この時点では、観客は何かは分かりませんが、先にネタバラシをして置くと、単眼鏡です。しかも秘密を隠しておける暗号じかけの単眼鏡。先端のカバーにはロゴが見えますね。ロゴについては記事の後半で解説します。

さぁ孤児となってしまった3兄弟。最初に向かったのは銀行マンMr. Poeのお家。そこではゴシップと特ダネにしか興味のないMr. Poeの奥様と、脳のなさを受け継いだ子供2人に迎えられます。ポーの家で悲しい扱いを受けた後に、3兄弟は1人目の里親に預けられます。それが悪しきオラフ伯爵ですね。作中では、「4親等離れた3番目か3親等離れた4番目の叔父」と形容されています。つまりえげつなく遠い親戚な訳です。

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ここで、単眼鏡のロゴと同じロゴが彼の足首にも入っていることに子供達は気付きます。そして家も、ロゴだらけ。窓枠、ドア枠、ありとあらゆるものにロゴを見つけることができます。全てが目!目だらけの家です。

で、このオラフ伯爵がシリーズを通しての悪役となります。職業は売れない俳優、脳はないけど悪知恵だけは一人前のサイコパスです。3兄弟の親が遺した莫大な遺産を狙っています。

(ちなみにオラフ伯爵に会う前に会ったJustice Strauss/ストラウス判事役の女優さんは、アダムス・ファミリー2の悪役のDebbieだよ!)

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途中の掃除のくだりは飛ばします。オラフ伯爵のやることリストを全て完了した3兄弟は、夕飯の支度をするように言いつけられます。そこで、ストラウス判事の書斎にお邪魔しますが、書斎では興味深い本が一瞬だけ登場します。この本、後に触れるVFDについて、その暗号や、変装手段など秘密組織に関する事柄を網羅している”The Incomplete History of Secret Organizations” (筆者訳: 秘密組織の歴史 不完全版) という本なんです。
ストラウス判事がVFDのメンバーだったかは、実は微妙です。シリーズを通してイニシャルがJSの人が非常にたくさん出てきますが、ストラウス判事も例外ではありません。
ただ、登場回がシーズン1・2合わせても最初の2話のみなので、VFDには関係がなくたまたまこの本を所有していたのかもしれません。しかしそうすると、1話でこの本を書棚から出そうとした説明がつきません。しかも、1話の最後にレモニー・スニケットが秘密のトンネル内を歩いている時、数々の案内板の中に “Strauss”という名前も紛れ込んでいます。(同じくその後のエピソードで、3兄弟をいじめ倒す Carmelita SpatsのSpatsの案内板や他のストーリーで出てくる里親の苗字もそこに書かれています)

また、ストラウス判事、若き日には女優を目指していたこともあって、その点が後に出てくるEsmeや、Mr. Poeの秘書であるJacquelyn Scieszka/ ジャクリーン・チェスカ (JS!) と経歴が一緒なんです。後のエピソードで判明しますが、Jacquelynは、Mr. Poeの秘書です。(この人に関しては、長いのでまた別の記事で…)

本題に戻ります。夕飯を作るよう命じられた3兄弟は無事パスタ・プッタネスカを作りますが、オラフ伯爵に気に入られず…
(面白いことに、手が鉤の劇団員は、末っ子の赤ちゃん語が理解できる 笑)

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最終的に1話は、子供達を救い出そうとするVFDメンバー 2人をハイライトして終了となります。この時、女性が最後に “What’s that thing Einstein said?” (アインシュタインの言った言葉なんだったかしら…?) と聞きますが、これはヴァイオレットが劇中でも発している “The most beautiful thing we can experience is the mysterious. It is the source of all true art and science.” (私たちが経験できるもっとも美しいものは、神秘である。それはすべての芸術と科学の源泉である) というフレーズです。この繋がりによって、最後に出てきたのは3兄弟の親かも…?と思わせているわけです。親はもしかして生き残った??
そしてそれを更に裏付けるのが、エンドクレジットの父親役と、母親役の俳優が表示されていること。でも、「誰の親か」ってところが明かされていないので、ここも期待しないようにしましょう。

また、毎度のエピソードで必ず登場するのが、「図書室」や「書斎」など、本が眠っている部屋。今回は判事の家・オラフ伯爵の家にあり、3話目では、モンゴメリー博士の家の中に書斎が登場します。

ちなみにオープニング映像で、新聞の” Flactuono” と “Lucafonto”に線を引いてるシーンが出てきます。この2つの名前、並び替えると “Count Olaf”となり、オラフ伯爵の名前となります。上記の2つの名前は、後のエピソードでオラフ伯爵や、彼の劇団員が使う偽名です。

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1話ものっけから様々なところに目のシンボルやVFDの文字が散りばめられているので、それこそ目を凝らして探してください。筆者も何十箇所か見つけました。ロゴのシンボルは、VFDという文字ですが、シリーズの要です。(しかも1話にその略がいきなりネタバレされている) 超・超・超大事。Vは眉毛、Fが二重の幅、Dが目全体を表してるの分かりますかね。

だからNetflixの1話では、最初の”A Series of Unfortunate Events” のタイトル画面にも隠れていますし、街の地図にも隠れています。


総合的に見て、筆者が1つ言えるのが脚本・そして原作がとにかく皮肉っぽい!現実世界に当てはまるようなセリフが多すぎて、とことんまでにダークな世界を追求したドラマだと言えます。また、登場する人物も現実世界にいるよね〜と思わず頷いてしまうような人々ばかり。いいなりの銀行マン、ゴシップにしか興味のない奥様、行く当てがなく仕方なくオラフ伯爵とつるんでいるチンピラ劇団員、とにかく法に縛られて勇気のない判事などなど。みんな、それぞれキャラが濃くて好きです 笑
原作との違いについてはシリーズが全て終了したらやっていこうかなと思います。深掘りして行くので、乞うご期待。

2話の解説はこちら

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